砂漠(伊坂 幸太郎)
学生時代の勢いと言うか、くだらないことに真剣になれた時代を思い出し、懐かしい気分を味わえる。
小説ゆえに、ちょっと突飛な要素もあるけれど、それがまたスパイスとして良い感じ。
「そうか、あれは伏線だったのね。」と思わせる多くの伏線が張り巡らされていて、作品としても作りこまれている感がある。
例えば、P.36の東堂の「4年に一度のセリフ」が、P.400まで温存されていたりとか、P.19の鳥井の描写や、P.41の文鳥を一索(イーソー)に見立てるエピソード(「俺、好きだよ、そういうの」)などは、後々重要な意味を持ってくる。
そして何よりも単純に面白かった。
マジック(手品)も小説でも、いい演技・作品ほど「いや~、面白かった。」と単純な感想しかでないものだな。
(それゆえ、個人的主観が大きいのだと思うけれど)