読後感

告発は終わらない―ミートホープ事件の真相 (赤羽喜六)

 まだまだ記憶に新しいミートホープ事件の告発者が書いた本。
 著者は、同社の元常務で、詳細まで生々しく描かれている。

 世の中の食の安全に対する過剰なまでの反応に、個人的には辟易するところがある。また、安全・安心を過剰に求めたり、過剰な反応をする割には極端な安さを求めるところに矛盾を感じざるを得ない。

 しかしながら、さすがに肉の容量(重量)をアップさせるためにパンを混ぜたり、牛肉コロッケに牛肉が入っていなかったりと、それらの不正行為は別格な感じがした。
 最大の問題は、それらに対して何度も内部告発がありながら全く動かない行政のあり方かもしれない。

 3年がたった今でもそれらは改善されていないと思うし、事の大小は別として、食品業界では依然として偽装はまかり通っていると考えている。

 田中稔社長の「業界全体が悪い。安いものばかり求める消費者も悪い」の発言でよりいっそう世の反感を買った。しかしながら、あまりにも安いものに疑問を抱かない、仕入れ担当にも問題があるのは確か。
 もちろん、仕入れ担当(バイヤー)は物を安く仕入れるのも仕事の一つだが、一方で良い物と悪いものを見分けるのも仕事である。

 当時の、くだんの肉を使っていた企業の対応は「ミートホープに騙された被害者」の様な対応だったと記憶している。しかし、その業界で何年も働いていたらそれが正常な安さか異常な安さか分かったはず。

 あと、元子会社(社長=田中稔の息子)で、ミートホープの肉を使い消費者を騙し続けていたバイキングレストラン((株)イートアップ)がいまだに経営されているのも驚き。

 HP上で、「イートアップは安全な食材をおいしく低料金でご提供しています。」って書いてあるけれど、それを信じているのかなぁ(嘘とも本当とも確認のしようはないけれど、私ならとりあえず避ける)。それとも「死にはしないから大丈夫」と言う考えなのか?

 結局、経営を続けられるということは、それを承知で行く消費者がいてるんだろうなぁ。

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