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まとめ:みなす(みなされる)と推定

民法

総則>みなす

  • 無効な行為の追認
     無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす
  • 条件成就の効果
     条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる
      条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる
  • 制限行為能力者の相手方の催告権
    • 行為能力 者となっ た後
       本人に対し、1か月以上の期間を定めて催告し。確答を発しないときは、追認したものとみなされる(20条1項)。
    • 制限行為能力者である間
      • 法定代理人、保佐人、補助人に対し、1か月以上の期間を定めて催告し、確答を発しない ときは、追認したものとみなされる(20条2項)。
         ただし、特別の方式を要する行為につ いては、
        取り消したものとみなされる(20条3項)。
        ※特別の方式を要する行為とは、後見人が後見監督人の同意を得なければならない行為をいう(864条)。
      • 被保佐人又は被補助に対し、1か月以 上の期間を定めて、保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をし、その追認を得た旨の通知を発しないときは、取り消したものとみなされる(20条4項)。
  • 仮住所
     ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所が住所とみなされる(24 条)。
     例えば、福岡に住所を有する商人AがBとの取引において、東京の新宿を仮住所としたときは、その取引については、東京の新宿が住所とみなされます。
  • 居所
     住所が明らかでないときは、居所が住所とみなされる(23条1項)。
    ※居所とは、人が継続して住んでいるが、「生活の本拠」とまではいえない場所をいう。
  • 特別失踪の死亡時期
     失踪の宣告を受けた者は、危難が去った時に、死亡したものとみなされる(31条後段)。
    ※「特別失踪」は、戦争、船舶の沈没など危難による失踪。「危難が去った後1年間生死が不明のときに失踪宣告ができる。
  • 無効な契約の追認
     無効であることを知って追認 をしたときは、新たな行為をしたものとみなされる。(119条)
  • 代表の行為
     代表の行為自体が法人の行為とみなされる
  • 顕明のない意思表示
     代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、代理人自身のためにしたものとみなされる (100条本文)。
  • 自己契約・双方代理・利益相反行為の効果
     自己契約・双方代理・利益相反行為は、本人の不利益となるおそれがあるため、無権代理とみなされる
  • 無権代理の相手方の本人に対する催告権
     本人が、相手方が相当の期間を定め てした催告に対して確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる(114条後段)。

総則>推定する

  • 期限の利益
     期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する
      期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
  • 占有者の善意
     占有者の善意は186条1項によって推定される。
     占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。(186条)
      前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

物権>みなす

  • 土地上の樹木など
     土地に生育する樹木や天然果実などの土地上に生育する物は、その土地の一部を構成するものとみなされる
  • 相続放棄による物権変動
     相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる。 (939条)
  • 占有権
    • 本件の訴え
       善意の占有者であっても、本権の訴えにおいて敗訴したときは、「その訴え提起の時」から悪意の占有者とみなされる。(189条2項)
    • 占有回収の訴え
       「占有回収の訴え」を提起したとき(勝訴したとき)は、その間の占有を失わなかったもの(占有が継 続していたもの)とみなされる。(203条ただし書)
  • 法定地上権成立の要件
     土地及びその土地上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設 定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなされる(388条)。
  • 抵当権消滅請求
     抵当不動産を買い受けた者(第三取得者)は、その取得代価を抵当権者に弁済等することその他、 一定の事項を抵当権者に書面で通知して抵当権の消滅を請求することができ、これに対して抵当権者が通知を受 けた後2ヵ月以内に抵当権を実行して競売の申し立てをしないときは、抵当権者は、抵当権消滅請求を承諾したものとみなされる。(379条、383条、384条)

物権>推定する

  • 境界に関する相隣関係
     境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定されます。(229条)
  • 共有の持分
     有者の持分が明らかでない場合には、各共有者の持分は相等しいもの(平等)と推定される。(250 条)

債権>みなす

  • 履行不能による損害賠償請求
     履行が不能(原始的不能・後発的不能)になった場合:債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行の不能は、債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされ、債務不履行の責任が生じます(413条の2第1項)。
     債務者がチンタラしてて、その間に履行不能になったら、そりゃ債務者が悪いやろ。と理解した。
  • 連帯債権の効力(絶対的効力:混同)
     連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなされる
  • 連帯債務の効力(絶対的効力:混同)
     連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなされ、他の連帯債務者の債務も消滅する(440条)。
  • 求償権の制限(自己の財産をもって共同の免責を得た連帯債務者が事後通知を怠 った場合)
     他の連帯債務者が善意で弁済その他自己の財産をもって免責を得るための行為をしたときは、当該他の連帯債務者は、その免責を得るための行為を有効であったものとみなすことができる
  • 保証契約
     保証契約が、パソコンデータなど電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされる(446条3項)。
  • 供託物の還付と取戻し
     債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り 戻すことができますが、この場合には、供託はしなかったものとみなされる(496条1項)
  • 契約の成立:承諾期間の定めのある申込み(遅延した承諾)
    申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる
  • 契約の成立:変更を加えた承諾
    承諾期間の定めの有無にかかわらず、承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したと きは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる(528条)。

債権>推定する

  • 違約金
     違約金は「賠償額の予定と推定する」と規定している(420条3項)。
  • 未成年者の債務保証
    未成年者の契約など、制限行為能力者であることを理由に取り消すことができる債務を保証した者は、保証契約の時にその取消原因の存在を知っていたときは、主たる債務が不履行となり、又はその債務が取り消さ れた場合においても、これと同一の目的を有する独立の債務を負担したものと推定される(449条)。
    つまり、付従性を認めないと言うことか?
  • 贈与契約における贈与者の引渡義務等
     贈与者は、物・権利に関して契約の内容に適合したものを移転する義務があるが、⺠法は、贈与契約が無償契約であるということを配慮し、贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定するとする規定を設 けている(551条1項)。
    ※契約時にすでに壊れた自動車を贈与する契約であったなら、壊れた自動車を渡せばよい。=契約不適合にはならない。
  • 手付け
    売買当事者において、特別の意思表示がない限り、解約手付と推定される(最判昭29・1・21)。
  • 売買代金の支払い期限
    売買代金の支払時期について、別段の定めがない場合には、売買目的物の引渡しと同時履行の関係とされ、目 的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限が付されたものと推定される(同時履行の抗弁権。573条)。
  • 消費貸借に関する規定:貸主の引渡義務
     無利息の消費貸借は、無償契約であり、同じく無償契約である贈与の贈与者の引渡義務等の規定(551条)が準用されており、貸主が消費貸借の目的である物を、その目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定することとなる(590条1項)。
  • 使用貸借契約の貸主
     使用貸借契約の貸主は、その目的である物を、その目的として特定した時の状態で引き渡したものと推 定され、この推定が借主により覆されない限り、担保責任(契約不適合責任)を負うことはない (596条、551条1項)。
  • 賃貸借契約:黙示の更新(法定更新)
     賃貸借の期間が満了した後賃借人が、なお賃借物の使用・収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定される(619条 1項前段)。
     ただし、この更新後の賃貸借期間は、「期間の定めのない賃貸借」とされる(619 条1項後段)。
  • 組合財産:損益分配
     当事者が、組合活動で生じた損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定めます(674条1項)。 また、この場合に利益又は損失の一方についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定される(674条2項)。

親族・相続>みなす

  • 胎児の権利能力
     既に生まれたものとみなす
    • 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。(721条)
    • 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。(886条)
      2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。
    • 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。
  • 遺産分割前の財産処分
     遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意によ り、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる(906条の2 第1項)。
  • 相続の単純承認
    相続人が単純承認したものとみなされる場合(法定単純承認。921条)。
    • 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び⺠法602条に定める期間を超えない賃貸(短期賃貸借)をすることは、この限りでない。
    • 相続人が⺠法915条1項の期間内に 限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
    • 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続 の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
  • 相続の放棄
     相続の放棄とは、被相続人の権利義務の一切を承継しないことであり、相続の放棄をした者は、その相続に関 しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる(939条)。
  • 遺言の撤回
     遺言が撤回されたものとみなされる場合(1023条、 1024条)。
    • 抵触する 遺言等
      • 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺 言を撤回したものとみなす。
      • 遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合については、その抵触する部分 につき遺言を撤回したものとみなす。
    • 遺言書等 の破棄
      • 遺言者が故意に「遺言書」を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回し たものとみなす。遺言者が故意に「遺贈の目的物」を破棄したときも、同様とする。

親族・相続>推定する

  • 嫡出の推定
     妻が婚姻中に懐胎(妊娠)した子は、夫の子と推定され、婚姻の成立の日から200日を経過した後、 又は婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定される(推定される嫡出子。772条)。
  • 特別受益
     婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又は その敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与についての特別受益に関する903条1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する(903条4項)。
    • 903条1項
       共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

商法・会社法(更新中)

会社法>推定する

  • 取締役会の決議への異議と議事録
    取締役会の決議に参加した取締役は、議事録に異議をとどめなければ決議に賛成したものと推定される(369条5項)。
     推定かかぁ・・・。意義をとどめなければ「みなされる」くらいの覚悟で取締役会に望んで欲しい者だ。

会社法>みなす

  • 株主総会の書面または電磁的記録による決議。(319条1項)
     株主総会の決議事項に関して取締役または株主から提案がなされ、当該決議事項について議決権を行使することができる株主の全員が書面または電磁的記録によりその提案内容に同意した場合は、実際に会議を開催しなくても、その提案を可決する株主総会の決議があったものとみなされる

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