弁陽明病脈証併治下第八(その1/2:第179条~第221条)
各条
・原文
・現代中国語解説
・現代中国語解説の日本語訳。
の順に記載。
ただし、日本語訳は管理人の翻訳のため翻訳精度は低いと考えられる。
第179条
问曰:病有太阳阳明,有正阳阳明,有少阳阳明,何谓也?答曰:太阳阳明者,脾约是也;正阳阳明者,胃家实是也;少阳阳明者,发汗利小便已,胃中燥烦实,大便难是也。
问:有太阳阳明、有正阳阳明、有少阳阳明三种不同的病症,各是指的什么? 答:太阳阳明证,就是指脾约证,即胃燥津伤而引起的便秘证。正阳阳明,就是指胃家实证,即肠胃燥热积滞成实证。少阳阳明,是指误用发汗、利小便之法,损伤津液,导致津枯肠燥而成实,形成大便难以解出的病症。
問い:太陽陽明、正陽陽明、少陽陽明がありますが、この3つの違いは何ですか?返答:太陽陽明証は脾約証を指し、すなわち胃の乾燥が津液を傷つけて、便秘を引き起こした状態である。正陽陽明は、胃家実証で、すなわち胃腸が乾燥し熱が鬱滞した実証である。少陽陽明は、発汗が無く利尿したために津液を損傷し、津は枯れ腸が乾き実となり、便秘となった病症である。
第180条
阳明之为病,胃家实是也。
阳明病的主要病变特征,是胃肠燥热实。
陽明病の主要な特徴は胃腸が燥熱で実している。
第181条
问曰:何缘得阳明病?答曰:太阳病,若发汗,若下,若利小便,此亡津液,胃中干燥,因转属阳明。不更衣,内实,大便难者,此名阳明也。
“问:阳明病是什么原因引起的呢? 答:患太阳表证,如果发汗太过,或误用攻下,或误用利小便之法,导致津液损伤,肠胃干燥,病邪因而传入阳明,出现不解大便、肠胃燥结成实、大便困难的,这就叫阳明病。
質問:陽明病はどんな原因になって引き起こされますか? 返答:太陽病を患い、発汗しすぎるたり、誤って瀉下させたり、あるいは利尿法を用いたりして津液を傷つけたため、胃腸が乾燥して、それによって病邪が陽明移り入ったためである。大便が出ず、胃腸が燥結して実となり、大便をしなくなり、胃腸が燥になり実となる、排便が困難になるのは、陽明病と呼ぶ。
第182条
曰:阳明病外证云何?答曰:身热,汗自出,不恶寒,反恶热也。
问:阳明病外在症候表现怎么样? 答:是身体发热,自汗,不怕冷,反而怕热。
質問:陽明病の外に現れる症状はどのようなものですか? 返答:それは発熱、自汗するが、寒気はなくむしろ暑さを嫌がる。
第183条
第183条|问曰:病有得之一日,不发热而恶寒者,何也?答曰:虽得之一日,恶寒将自罢,即自汗出而恶热也。|问:有这种情况,在刚患阳明病的第一天,出现不发热而怕冷的,是为什么呢?答:虽然是阳明病开始的第一天,这种怕冷也会自行停止,旋继出现自汗而怕热的症候表现。|”質問:陽明病に罹ったばかりの1日目、発熱なく寒がるものもあるが、これはなぜですか? 返答:陽明病の最初の1日目、その種の寒気は自ずと止み、すぐ続いて汗が出て暑さを嫌がるようになる。”||08183|
第184条
问曰:恶寒何故自罢?答曰:阳明居中,主土也,万物所归,无所复传,始虽恶寒,二日自止,此为阳明病也。 问:怕冷为什么会自行停止呢? 答:这是因为,阳明在方位上居于中央而隶属于土,就象万物归土一样,六经之邪,均可传入阳明,而很少再传入其他经,同时,阳明主燥土,邪传阳明,多从燥热而化。由于邪从燥化,燥热势必会很快显露于外,所以在阳明病刚开始的时候虽然会出现短暂怕冷的症状,第二天就会自行停止,这就是阳明病的特征。 質問:寒気は何故自ずと無くなるのですか? 答:陽明は方位は中央にあり、土に隷属する。万物が土に帰る様に六経に邪はいずれも陽明に入ることができ、その他の経に再び移ることはまれである。それとともに陽明は乾いた土を司り、邪は陽明に移ってくると燥熱となる。邪が燥になるに従って、燥熱は必然的に外に現れるだろう。そのため、陽明病の最初の短期で一時的な寒気がでる。二日目には自ずととまる。これが陽明病の特徴である。
第185条
本太阳初得病时,发其汗,汗先出不彻,因转属阳明也。伤寒发热无汗,呕不能食,而反汗出濈濈然者,是转属阳明也。
本来属太阳病,在刚起病的时候,使用了发汗的方法,由于汗出不透彻,因而导致邪气内传阳明。 患外感病,症见发热无汗、呕吐、不能进食,是伤寒邪热亢盛的表现,如果反而出现不断汗出的,是邪传阳明的标志。
本来は太陽病に属し、罹患したばかりの時に、発汗法を用いたが、汗を出出し切れなかったため、邪の陽明への移転を導いた。 外観病にかかり、発熱し汗が出ず、吐き気がし、食事ができないのは、傷寒の邪熱が旺盛な表現である。もし反して汗が出続けるのであれば、病邪は陽明に移ったしるしである。
第186条
伤寒三日,阳明脉大。|外感病的第三天,阳明病的脉象为大。|”外感の病にかかり三日目、陽明病の脈は大に変わる。
第187条
伤寒脉浮而缓,手足自温者,是为系在太阴。太阴者,身当发黄,若小便自利者,不能发黄。至七八日大便硬者,为阳明病也。|外感病,脉象浮而缓,手足温暖的,这是病属太阴。太阴寒湿内郁,病人身体应当发黄,如果小便通畅的,则湿有出路,就不会发黄;到了第七、八天,如果大便硬结的,则是湿邪化燥,已转成为阳明病。|外感病で脈が浮で緩、手足が暖かいのは太陰病に属する。太陰病は寒湿内鬱で身体が黄色を帯びるはず(小便の出が良ければ、湿の出口があるので、身体は黄色くはならない)である。;7、8日が過ぎて大便が硬くなってくれば、湿邪が燥になったため、すでに陽明病に移転している。
第188条
伤寒转系阳明者,其人濈然微汗出也。|患外感病,邪由其它经转属阳明的,病人就会出现不断汗出的症状。|(寒暑や湿気などの)外因による疾病に罹り、邪が他の経から陽明病に転属してきた場合は、汗が絶え間なく出る症状となる。
第189条
阳明中风,口苦咽干,腹满微喘,发热恶寒,脉浮而紧,若下之,则腹满小便难也。 阳明感受风邪,症见口苦,咽喉干燥,腹部胀满,微微气喘,发热怕冷,脉象浮紧的,不能攻下。如果误行攻下,就会使腹部胀满更加厉害,小便难以解出。 陽明で風邪に感受して、口が苦い、喉が渇き、腹部膨満、すこしぜんそく気味で、発熱悪寒し、脈が浮で緊の症状が見られるのは、瀉下させてはならない。 もし、誤って瀉下させたなら、腹部膨満がさらにひどくなり、小便が出にくくなる。”|陽明中風:風寒の邪、とくに風邪の偏盛した邪が陽明に直中することをさす。(傷寒論解説:金子伸夫著)
第190条
阳明病,若能食,名中风;不能食,名中寒。
阳明病,如果能够饮食的,示胃中有热,能够消化水谷,这就叫中风;如果不能饮食的,示胃中虚寒,不能消化水谷,这就叫中寒。
陽明病で、十分に食欲があれば胃中に熱があるためで、飲食物(水穀)を消化できる。これを中風と呼ぶ。;もし食べられないのであれば、胃が虚して冷えていて、飲食物を消化できない。これを中寒と呼ぶ。
第191条
阳明病,若中寒者,不能食,小便不利,手足濈然汗出,此欲作固瘕,必大便初硬后溏。所以然者,以胃中冷,水谷不别故也。
阳明中寒证,不能饮食,小便不通畅,手足不断汗出的,这是将要形成固瘕的征兆,大便一定初出干硬,后见稀溏。之所以这样,是因为胃中寒冷,不能泌别水谷的缘故。
陽明中寒症で、飲食できず、小便の出が悪く、手足から絶え間なく汗をかくのは、間もなく固瘕になる兆候である。おそらく、最初、大便は乾いて硬く、その後軟便となる。その理由は胃中が冷えているため、飲食物を消化吸収できなくなるからである。
固瘕[こか]:⒈下痢が長引くこと。2.大便がはじめ硬く、後が溏(ドロドロ)である病症を指す。(中医基本用語辞典,東洋学術出版社)/它是胃肠病的一种。主要症状为大便先硬后溏,或硬粪和稀粪夹杂而下,这是因肠间寒气结聚所致。(百度百科)
第192条
阳明病,初欲食,小便反不利,大便自调,其人骨节疼,翕翕如有热状,奄然发狂,濈然汗出而解者,此水不胜谷气,与汗共并,脉紧则愈。
阳明病,初起病时想进食,小便反而不通畅,大便正常,病人骨关节疼痛,身上好象皮毛复盖一样有发热的感觉,忽然发狂的,这是水湿郁滞肌表的表现,如果全身畅汗而病解的,这是正与邪争,正能胜邪,邪随汗解的缘故,此时若见脉紧的,疾病就会痊愈。
陽明病初期に食欲はあるが小便の出が悪く、大便は正常。関節が痛み、身体を象の皮で覆われたような発熱に感じがして、突然発狂するのは、水湿が体表面に鬱滞したためで、もし全身にたっぷりと汗をかいたら治る。これは正気と邪気の闘争で、正気が邪気に勝てるのは、邪気が汗と一緒に解かれるからである。この時、脈が緊なら病は癒えるだろう。
第193条
阳明病欲解时,从申至戌上。
阳明病将要解除的时间,多在下午3时到9时之间。
陽明病は午後3時から9時の間に治ることが多い。
第194条
阳明病,不能食,攻其热必哕,所以然者,胃中虚冷故也。以其人本虚,攻其热必哕。
阳明中寒证,不能进食,如果误用苦寒药泻热,就会产生呃逆。之所以这样,是因为胃中虚寒的缘故。由于病人胃气本虚,又再用苦寒泻热,必使胃气更虚而产生呃逆的变证。
陽明中寒症で、食欲が無いところに、誤って苦寒薬で瀉熱すると、吃逆(しゃっくり)が出だすだろう。これは、胃中が虚寒であるためである。病人の胃気が本来虚しているところに、苦寒薬で瀉熱すれば、当然胃気はさらに虚し、しゃっくりが出だす。
第195条
阳明病,脉迟,食难用饱,饱则微烦头眩,必小便难,此欲作谷疸。虽下之,腹满如故,所以然者,脉迟故也。
阳明病,脉象迟,饮食不能吃饱,如果饱食就会微感心烦、头目昏眩,小便必不通畅,腹部胀满,这是将要形成谷疸。用了泻下法治疗,而腹部胀满丝毫不减轻。究其原因,是因为病人脉迟,迟脉主寒,其证属寒湿内郁,所以攻下无效。
陽明病で脈が遅。腹一杯食べられず、もし、腹一杯食べると少しイライラ(心煩)し、めまいがし、小便の出が悪くなり、腹が張る場合は間もなく穀疸(黄疸の一種)を形成する。瀉下法を用いて治療したが、腹の張りは全く軽減されない。その原因はつまり、病人の脈が遅であり、遅脈は寒を意味する。その証は寒湿内鬱に属するので、瀉下法は効かない。
第196条
阳明病,法多汗,反无汗,其身如虫行皮中状者,此以久虚故也。
阳明病,本应当汗出多,却反而无汗,病人身痒好象虫在皮内爬行一样的,这是长期正气虚弱的缘故。
陽明病は本来汗が多いはずだが、汗が出ない。まるで皮膚の中を虫が這うような痒みがあるには、長期間にわたり正気が虚しているためである。
第197条
阳明病,反无汗,而小便利,二三日呕而咳,手足厥者,必苦头痛。若不咳不呕,手足不厥者,头不痛。
阳明病,若属实热证,应当汗多,现却反而无汗,并见小便通畅,是属阳明中寒证。病至二三日,出现呕吐、咳嗽、手足冷的,为寒邪上逆,一定会发头痛;如果不咳嗽,不呕吐,手足不冷的,为寒邪不上逆,就不会发头痛。
陽明病でもし実熱証に属しているなら汗が多く出るはずだが、汗が出ず小便の出が悪いのは、陽明中寒症に属する。 罹患してから2,3日が経ち、嘔吐、咳、手足の冷えが出現するのは、患者が上逆しているためで、頭痛が出てくるものと予測される。;もし咳も出ず、吐き気もなく、手足が冷えないのは、寒邪は上逆していないので、頭痛は出てこない。
第198条
阳明病,但头眩,不恶寒,故能食而咳,其人咽必痛。若不咳者,咽不痛。
阳明病,头目昏眩,不怕冷,是属阳明中风证,所以能够饮食。如果出现咳嗽的,为热邪上攻,病人咽喉一定疼痛;如果不咳嗽的,则热邪不上攻,咽喉就不会疼痛。
陽明病で、めまいがして寒気はない。これは陽明中風症に属す。なので、食欲はある。もし咳が出てきたら、それは熱邪が攻め上げているからであり、必ず喉の痛みが出てくる。;もし咳が出ないのであれば、すなわち邪熱は上がってきてないので、喉の痛みも出ない。
第199条
阳明病,无汗,小便不利,心中懊憹者,身必发黄。
阳明病,无汗,小便不通畅,心中烦闷至极的,是阳明湿热内郁,一定会出现肌肤发黄。
陽明病で汗が出ず小便の出が悪く、気分の塞ぎ(心中煩悶)がひどいのは、陽明湿熱内鬱で、必ず肌が黄色くなる。
第200条
阳明病,被火,额上微汗出,而小便不利者,必发黄。
阳明病,误用火法治疗,火邪内迫,出现微微汗出,小便不通畅的,一定会出现肌肤发黄。
陽明病で誤って火法を用いて治療すると、火邪が内に迫り、少し汗が出て、小便の出が悪くなり、必ず肌が黄色くなるだろう。
第201条
阳明病,脉浮而紧者,必潮热,发作有时。但浮者,必盗汗出。
阳明病,脉象浮而紧的,主胃燥成实,所以一定会出现潮热定时发作;只见脉浮的,主邪热内盛、实邪未成,所以一定会出现盗汗。
陽明病で、脈が浮で緊なのは、胃が乾いてきている。そのために必ず定時に潮熱が出る。;ただ脈が浮なのは主に邪熱が内にあり、実邪にはまだなっていない。そのために寝汗が出るだろう。
第202条
阳明病,口燥,但欲漱水,不欲咽者,此必衄。
阳明病,口中干燥,但只想用水漱口,却不想吞咽下去的,这是热在血分的表现,一定会出现衄血。
陽明病で口の中が乾燥しているが、口をすすぎたいと思うだけで、飲みたくない。これは熱の血分の現れで、必ず鼻血が出るだろう。
第203条
阳明病,本自汗出,医更重发汗,病已差,尚微烦不了了者,此必大便硬故也。以亡津液,胃中干燥,故令大便硬。当问其小便日几行,若本小便日三四行,今日再行,故知大便不久出。今为小便数少,以津液当还入胃中,故知不久必大便也。
阳明病,本来就有自汗出,医生又重复发汗,疾病虽然得以解除,但还微感心烦不舒适的,这一定是大便干结坚硬的缘故。大便之所以干燥,是因为汗出过多,损伤津液,津液亏乏,肠中干燥所致。此时,应当询问病人一天解几次小便,如果原来为一天三四次,现在只有二次,就可以推知大便不久将要解出。究其原因,是因小便次数较原来减少,津液应当还于肠中,肠中津液势必增加,硬便得以濡润,则大便一定会很快解出。
陽明病なら本来は汗が自ら出るものだが、医者が誤ってなんども発汗させ、病は治ったにもかかわらず、少しイライラ(心煩)して不快感が残る。これは大便が硬くなって便秘しているためである。大便が乾燥する理由は、汗が出すぎたために津液を傷つけ、津液不足を起こし、腸内の乾燥を引き起こしたためである。この時、病人に1日のおしっこの回数を聞かなくてはならない。もし平素に1日に3,4回であるところが、2回であれば、もうすぐ便秘が解消することが推して知れられる。その原因は、平素に比べて小便の回数が少ないので、津液が腸内に戻ってくる。津液の勢いが増せば、大便も潤い、それによって便秘が解消されるであろう。
第204条
伤寒呕多,虽有阳明证,不可攻之。
伤寒病,呕吐剧烈的,虽然有阳明府实证,也不能用攻下法治疗。
傷寒病で激しく嘔吐する場合は、もし陽明病の証があっても、瀉下法を用いてはならない。
第205条
阳明病,心下硬满者,不可攻之。攻之利遂不止者死,利止者愈。
阳明病,胃脘部痞满硬结的,不能用攻下法治疗。如果误用攻下,就会损伤脾胃而致腹泻。假如腹泻不停的,就有生命危险,假如腹泻停止的,疾病就会痊愈。
陽明病で、胃腸部が痞満して硬く詰まる時は瀉下法で治療してはいけない。もし瀉下させたら、脾胃を傷つけて下痢するだろう。もし下痢が止まらなければ、命に関わる。下痢が止まれば治ってくる。
第206条
阳明病,面合色赤,不可攻之,必发热。色黄者,小便不利也。
阳明病,满面通红的,不能用攻下法治疗。误用攻下就会产生发热、肌肤发黄、小便不通畅的变证。
陽明病で顔が紅潮する場合は、瀉下させてはならない。誤って瀉下させると熱を産生して、黄疸が出て、おしっこの出が悪くなる。
第207条
阳明病,不吐不下,心烦者,可与调胃承气汤。 阳明病,没有使用涌吐或泻下法治疗,外邪内入,化热化燥成实,而见心中烦躁不安的,可用调胃承气汤治疗。
陽明病で、吐瀉法あるいは瀉下法を用いていないのに、外邪が内に入り湿熱の邪を形成して、気持ちの苛立ち(心中煩躁)が現れるのは、調胃承気湯を用いて治療する。
第208条
阳明病,脉迟,虽汗出不恶寒者,其身必重,短气腹满而喘,有潮热者,此外欲解,可攻里也。手足濈然汗出者,此大便已硬也,大承气汤主之;若汗多,微发热恶寒者,外未解也,其热不潮,未可与承气汤;若腹大满不通者,可与小承气汤,微和胃气,勿令至大泄下。大承气汤。
阳明病,脉象迟,汗出而不怕冷,身体沉重,短气,腹部胀满,喘息,如果发潮热的,这是表证将要解除而里实已成,可以攻下里实;如果手足不断汗出的,这是大便已经硬结的标志,用大承气汤主治。如果汗出较多,轻微发热而怕冷的,这是表证未解,病人不发潮热,不能用承气汤攻下。如果腹部胀满厉害、大便不通的,可用小承气汤轻微泻下来和畅胃气,不可用峻泻药攻下。
陽明病で脈が遅、汗が出て寒気はなく、体が重く、息切れし、腹が張り 、喘息して、もし潮熱が出る場合は、すでに裏実になって表証は近く解ける。なので、瀉下法で裏を攻めてもよい。;もし手足にひっきりなしに汗が出るのであれば、大便がすでに硬結しているしるしであるので、大承気湯を用いて治療する。もし、汗が比較的多く、軽く発熱して寒気がするのであれば、まだ表証は解けておらず、病人が潮熱しないのであれば、承気湯で瀉下させてはならない。もし腹部の張りが酷くて便秘するのであれば、小承気湯で少し瀉下させ無理せず胃気を取り戻し、強い瀉下剤を用いてはならない。
※短气(短気)を「気落ちする」と訳したが、傷寒論解説(金子幸夫著)および入門傷寒論(森由雄著)では「息切れする」と訳されている。
第209条
阳明病,潮热,大便微硬者,可与大承气汤,不硬者不可与之。若不大便六七日,恐有燥屎,欲知之法,少与小承气汤,汤入腹中,转失气者,此有燥屎也,乃可攻之。若不转失气者,此但初头硬,后必溏,不可攻之,攻之必胀满不能食也。欲饮水者,与水则哕。其后发热者,必大便复硬而少也,以小承气汤和之。不转失气者,慎不可攻也。小承气汤。
阳明病,发潮热,大便微有硬结的,为燥屎内阻、里实已成,可以用大承气汤攻下里实;如果大便不硬结的,是内无燥屎,不能用大承气汤。如果六七天不解大便,恐有燥屎内阻,预测的方法,可给予少量小承气汤。服药后如果屎气转动而放屁的,这是有燥屎的症象,才能够攻下;如果服药后不放屁的,则是大便初出硬结、后部稀溏,不能攻下,如果攻下就会形成腹部胀满,不能进食,甚至饮水就呃逆的变证。假如攻下后又出现发热的,这一定是燥屎复结,大便再次变硬而量较少,此时,应当用小承气汤和畅胃气而攻下。 总而言之,如果服小承气汤不转屎气的,千万不能攻下。
陽明病で、決まった時間に熱が出て(潮熱)、便が少し硬くなるのは、燥屎がふさがって、すでに裏実になっている。大承気湯を用いて裏実を攻めてもよい。;もし大便がまだ硬くなっていないのなら燥屎は無く、大承気湯を与えてはならない。もし、便秘が6,7日続く様なら、燥屎が塞がっている可能性がある。これを予測するには少量の小承気湯を与えてみる。服用後、便意を催したりおならがでたりすれば、燥屎があるので瀉下させても良い。;服用後、おならが出ないのは、最初の方は便が硬いが、その後はドロドロ便であるので、瀉下させてはならない。もし瀉下させると腹が張り、食べられなくなり、飲食するとしゃっくりが出るようになる。もし瀉下後に再び発熱するようであれば、便が再び硬くなって量も減るり、また燥屎する。その時は、小承気湯で胃気を整えつつ瀉下させるべきである。 要するに、もし小承気湯で便意がでないのであれば、決して瀉下させてはならない。
第210条
夫实则谵语,虚则郑声。郑声者,重语也。直视谵语,喘满者死,下利者亦死。
谵语一般属实,郑声一般属虚。所谓郑声,是指语言重复、声低息微的症候。两眼直视谵语,并见喘喝胀满的,属于死候,并见下利的,也是死候。
通常、譫言は実に属し、鄭声は虚に属す。なので、鄭声は言葉を繰り返して言い、声も低く弱々しいうわ言である。両目を直視し譫言を言い、咳が出て大声で叫びむくむものは、死に至る、下痢するものも死に至る。
第211条
发汗多,若重发汗者,亡其阳,谵语。脉短者死,脉自和者不死。
发汗太过,或重复发汗,阳气大伤,出现谵语,脉象短的,属于死候;如果脉与证相应的,不属死候。
汗をかきすぎる、もしくは幾度も発汗して、陽気をかなり傷つけ、譫言が出て脈が短なのは、死に至る。;もし脈と証が一致しなければ死なない。
第212条
伤寒若吐若下后不解,不大便五六日,上至十馀日,日晡所发潮热,不恶寒,独语如见鬼状。若剧者,发则不识人,循衣摸床,惕而不安,微喘直视,脉弦者生,涩者死。微者,但发热谵语者,大承气汤主之。若一服利,则止后服。
伤寒表证,误用吐法或下法之后,病仍然不解除,出现五六天甚至十余天不解大便,午后发潮热,不怕冷,谵言妄语,如见鬼神一样。病情严重的,就会出现神志昏糊、目不识人、两手无意识地乱摸衣被床帐、惊惕不安、微微喘息、两目直视,如果脉象弦的,尚有生机;如果脉象涩的,属于死候。如果病情较轻,只见发潮热、谵语等证,用大承气汤主治。服药后,如果大便已通的,应停止服剩下的药。
傷寒表証で、誤って吐瀉法あるいは瀉下法を用いた後、病が依然として癒えず、5,6日からひどい場合は10日ほど便秘して、午後の決まった時間に熱が出て(潮熱)、寒気は無く、意味不明なうわ言をいい、その姿は鬼の様になる。重篤な場合は、意識が昏睡し、目視で人を判断できなくなり、両手は無意識に服をひねったり、布団の縁を撫でたり、驚き慄いて不安になり、少し咳が出て、両目を見開らく。もしこの時に脈が弦ならば、生存のチャンスはある。;脈が渋なら死に至る。もし比較的軽い病状で、ただ決まった時間に熱が出たり(潮熱)うわ言などをいう程度なら、大承気湯を用いて治療する。服用後に便秘が治れば、残った分は服用しない。
第213条
阳明病,其人多汗,以津液外出,胃中燥,大便必硬,硬则谵语,小承气汤主之;若一服谵语止者,更莫复服。
阳明病,病人汗出太多,导致津液外泄,肠中干燥,大便势必硬结;大便硬结,府气不通,浊邪上扰,则发生谵语,用小承气汤主治。如果服一次药谵语就停止的,就不要再服剩余的药。
陽明病で、汗が多く出て、津液が外に出る(津液外泄)ことで、胃の中が乾燥して大便は硬くなる。;臓器の気(腑気)が行き来できなくなり、濁邪(湿濁の邪)によってうわ言が出る。小承気湯を用いて治療する。もし、一服でうわ言が無くなれば、残りは飲まなくて良い。
※現代中国語の中に「府气」とあるが「腑气」の間違いだと思われる。
第214条
阳明病,谵语发潮热,脉滑而疾者,小承气汤主之。因与承气汤一升,腹中转气者,更服一升,若不转气者,勿更与之。明日又不大便,脉反微涩者,里虚也,为难治,不可更与承气汤也。
阳明病,谵语,发潮热,脉象滑而疾的,用小承气汤主治。 于是给病人服小承气汤一升,服药后腹中转矢气而放屁的,可以再服一升;服药后腹中不转矢气的,就不要再服。如果第二天又不解大便,脉象反见微弱而滞涩的,这是正气虚弱而实邪阻滞,正虚邪实,攻补两难,治疗十分棘手,不能再用承气汤了。
陽明病で、うわ言を言い、決まった時間に熱が出て(潮熱)、脈が滑で疾なら小承気湯を用いて治療するのだが、そこで一升(1L)を服用した後、お腹のガスが動いてオナラが出るなら、さらに一升を与える;もし、おなかのガスが動かないなら、さらに(小承気湯を)与えてはならない。もし、二日目も便通が無く、脈が返って微弱して滞渋するのは、正気が弱って、実邪が滞っている状態の正虚邪実である。瀉するのも補うのも難しく治療にとても手を焼く。承気湯を再び用いることはできない。
第215条
阳明病,谵语有潮热,反不能食者,胃中必有燥屎五六枚也;若能食者,但硬耳,宜大承气汤下之。 阳明病,谵语,发潮热,反而不能进食的,是肠中燥屎已成,宜用大承气汤攻下燥屎;如果尚能进食的,只是大便硬结,宜用小承气汤和畅胃气。 陽明病で、うわ言を言い、決まった時間に熱が出る(潮熱)が、食べられないのは腸内に燥屎があるからである。大承気湯が燥屎を下すのに適している;もし、食べられるのであればただ単に便が硬くなっているだけなので、小承気湯を用いて胃気を調えるのがよい。
第216条
阳明病,下血谵语者,此为热入血室,但头汗出者,刺期门,随其实而写之,濈然汗出则愈。
阳明病,经行下血而谵语的,这是热入血室,如果只见头部出汗的,可以针刺期门,以泻血室的实邪,使血热得以宣泄,则周身畅汗而痊愈。 陽明病で、不正出血しうわ言を言うのは、熱が子宮(血室)に入ったからで、もし頭部に汗が出るだけなら期門に針をする。血室の実邪を瀉して、血熱を排出させることで、全身から程よく汗が出て治る。
第217条
汗出谵语者,以有燥屎在胃中,此为风也,须下者,过经乃可之下之。下之若早,语言必乱,以表虚里实故也。下之愈,宜大承气汤。
汗出谵语的,这是外有太阳中风,内有燥屎阻结。燥屎内结必须用泻下法治疗,但是须待太阳表证解除后才能攻下。如果攻下过早,就会导致表邪尽陷而里实益甚,出现神昏语言错乱。如果表证已解而里实未去,用攻下法治疗就会痊愈,可用大承气汤。
汗が出てうわ言を言うのは、外は太陽中風で、内は燥屎が留まっている。燥屎が内に詰まっているのは瀉下法で治療する必要があるが、先に太陽表証が解けるのを待ってから瀉下しなくてはならない。もし瀉下が早すぎると、表邪は裏に陥り、裏実はますますひどくなり、意識は朦朧として言葉が錯乱しだすだろう。もし、表証がすでに解けて裏実がまだある場合は、瀉下法を用いると治るだろう。大承気湯が使える。
第218条
伤寒四五日,脉沉而喘满,沉为在里,而反发其汗,津液越出,大便为难,表虚里实,久则谵语。
外感病四五天,症见脉沉、气喘、腹部胀满。脉沉主里,可知其病在里,却反而用发汗法治疗,汗出津液外泄,津伤肠燥成实,所以大便硬结难以解出。津液外越而虚,津伤肠燥成实,时间一长,就会发生谵语。
外感の病に罹り4,5日が経ち、脈が沈で、喘息して、お腹が張る。脈が沈なのは病が裏にあることを示す。却って発汗法で治療すると汗として津液が出てしまい、津を傷つけて腸燥成実となり、大便が硬くなり出にくくなる。津液が出て虚になると、腸燥成実となって、さらに長引くとうわ言が出る。
第219条
三阳合病,腹满身重,难以转侧,口不仁,面垢,谵语遗尿。发汗则谵语。下之则额上生汗,手足逆冷。若自汗出者,白虎汤主之。
太阳、阳明、少阳三经合病,腹部胀满,身体沉重,转侧困难,口中麻木不仁,面部垢浊,谵语,小便失禁,如见身热、自汗出的,是邪热偏重于阳明,用白虎汤主治。如果用发汗法治疗,就会使谵语更甚;如果妄行攻下,就会造成额上出汗,四肢冰冷的变证。
太陽、陽明、少陽の三経が合わさった病に罹患して、お腹が張って、身体は重たくなり、寝返りが困難で、口の中が痺れて感覚を失い、顔は垢で汚れ、うわ言を言い、小便失禁し、身体は熱く、自汗が出る。これは熱が陽明に偏重している。白虎湯を用いて治療する。 もし発汗法で治療するとうわ言はさらに酷くなり、全く道理にかなっていない瀉下法を用いると、額に汗が出て、四肢は氷のように冷たくなる。”||08219|
第220条
二阳并病,太阳证罢,但发潮热,手足漐漐汗出,大便难而谵语者,下之则愈,宜大承气汤
。 太阳阳明两经并病,太阳表证已解,仅只见发潮热,手足微微出汗,大便解出困难而谵语的,是属阳明里实,攻下里实就可痊愈,适宜用大承气汤。
太陽病と陽明病の併病で、太陽病の表証はすでに解け、ただ潮熱(決まった時間に熱が出る)だけが見られ、手足から少し汗が出て、大便が出にくくてうわ言を言い。陽明病が裏実に属するからで、瀉下させれば治る。大承気湯が適している。
第221条
阳明病,脉浮而紧,咽燥口苦,腹满而喘,发热汗出,不恶寒反恶热,身重。若发汗则躁,心愦愦反谵语。若加温针,必怵惕烦躁不得眠。若下之,则胃中空虚,客气动膈,心中懊憹,舌上胎者,栀子豉汤主之。
阳明病,脉象浮而紧,咽喉干燥,口中感觉苦,腹部胀满,喘息,发热,汗出,不怕冷,反而怕热,身体沉重,是属阳明里热证。如果误发其汗,就会出现心中烦乱不安、甚或神昏谵语的变证;如果误用温针,就会导致恐惧不安、烦躁失眠的变证;如果误行攻下,就会损伤胃气,致邪热扰于胸膈,出现心中烦躁厉害,舌上生薄黄苔,用栀子豉汤主治。
陽明病で、脈が浮で緊、喉が乾燥して口の中が苦く、お腹が張り、喘息して発熱発汗があり、寒気はないがむしろ暑がり、身体が重い。これは陽明の裏熱証に属する。もし、誤って発汗させると、いらいらして心が乱れ不安(心中煩乱不安) 感がでて、さらには意識がはっきりせず(神昏)うわ言を言うようになる。;もし誤って温針を用いると、不安でびくびくしだし(恐惧不安)、煩わしくて気がもめて眠れなくなる(烦躁失眠)。もし誤って瀉下させると胃気を傷つけ、邪熱が胸や腹の周りをかき乱し、気持ちの苛立ち(心中煩躁)が甚だしくなり、舌に薄い黄色の苔ができる。梔子鼓湯を用いて治療する。