読後感

エレガントな毒の吐き方

タイトル:エレガントな毒の吐き方
発売日:2023.5.4
出版社: 株式会社日経ビーピー
著者:中野信子

 本屋をぶらぶらしていて、タイトルのみをみて購入した1冊。京都人の評価に関する部分は「何言ってんの?」となってしまう一冊だった。

 NOを言わずにNOを伝えるには? 古都・京都が育んだ人間関係のエッセンスから、「言いにくいことを賢く伝える」技術を伝授。京都人に聞いた、シチュエーション別のエレガントな毒の吐き方も紹介する。

honto.jpより(https://honto.jp/netstore/pd-book_32447592.html#productInfomation)

 著者は数代に亘り東京(江戸)に住む家系とのこと。だからなのか、まず京都人の嫌味を「イケズ」表現している。京都人はイケズだが、本著のなかで取り上げられている表現方法はイケズではなく、嫌味。そして(関西人にとって)そこにエレガントさは感じられない。

 本当にエレガントさを人々が感じ、共感できるのであれば、その近辺の府県民が真似をしたりすることもあるだろう。しかし、現実は違う。むしろ関西(特に近畿)では、京都人だけが桁違いに嫌われている。それはひとえに行動が単純にイケズで、言動が嫌味だからではないだろうか。
 実際、大阪、神戸、和歌山、奈良、滋賀などの府県民が集まって話をする時、「京都府民の悪口(だけは)は全府県一致で盛り上がる。」と言うことが多々ある。「アンチ京都では他府県民は一瞬で連合が成り立つ」件は、何人かの関西人にネタ振りをしたことがあるが、大抵の人から「あるある」と言ってもらえた。
 この辺りの感覚は東京(関東)の方には分かってもらえないと思う。

 本著に関して、n=1(私)のみの感想ではあるが(京都人の嫌味な言い方に対する評価は)「はぁ? 何言ってんの?」と言う感想しか出てこなかった。
 関東あるいは関西圏以外の方は、京都風の嫌味をエレガントと感じるのかも知れないが。


 京都人といえども、関西人です。

P168

 京都人が、自ら「関西人」ですと口にしたくだりは俄には信じがたい。京都以外は「下らない」地域であって、京都のみが「下るしかない(上らない)」地域であり、京都人からすると「京都とそれ以外」の区別しかないのだから。

 本著の中でも触れられている通り、嫌味が好きな京都人は、自分の嫌味(著書中ではイケズと表現)が通じない相手を「田舎者」と蔑むことで、自分の言い分が通らない不満やストレスを溜飲する。京都の嫌味が通じないと言うだけで田舎者する考えは、すなわち京都以外はすべて田舎であり取るに足らない地域であると言う考えが根本にある。

 いずれにしても、著者が東京人を代表しているわけでもないし、私が大阪人を代表しているわけでもないし、著者が聞き取り・調査した京都人が京都を代表しているわけでもないし、私が出会った京都人が京都を代表しているわけでもない。
 ただ、本著に出てくるような嫌味な京都人と私が出会ったことがある京都人とのイメージは付合する。なので、「京都人は嫌味なやつら」と言うことを本著で再認識できた。尤も大阪で暮らしていても、本著に出てくるような京都人に会うことなんて滅多にない。時折、そこはかとなく名残を感じさせてもらえる人には出会えるかなと言う程度である。
 そして、著者と私との京都人に対する感じ方の違いは、東京人と大阪人ではなく、京都人の嫌味をエレガントと感じられる知性と品性のある著者と、それらがまったく無い私との差なのかも知れない。
 

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