インボイス&消費税超入門
タイトル:インボイス&消費税超入門
発売日:2023/03/27
出版社: 技術評論社
著者:土屋 裕昭
経理関係者や自営業者の方向けかな?
単元ごとに見開き2ページで説明されているのでわかりやすい。
興味のあるところだけ読み進めるという方法もある。
個人的には自部門に関係のある箇所のみ課内で情報共有をして改めてインボイス制度の概要を、課内で理解してもらうのに利用できた。
本著とは直接的には関係ないけれど、インボイス制度に反対している勢力は、「消費税は預かり税ではない。」という理論を展開している。正直どうでもいい。
例えば、小売業で、A店は消費税非免税事業者、B店は消費税免税事業者。両店ともに40円で仕入れた商品があるとする。両店ともに仕入元企業に44円(4円は消費税)を支払っている。それを110円で(本体100円+消費税10円)販売したとしたら、最終消費者は10円の消費税を納めていることになる。
上記の通り、両店ともすでに4円を消費税として仕入元に支払っている。消費税非免税事業者A店は10円と4円の差額の6円を納税する。つまり、A店の利益は60円(110円−44円−6円)。対して、消費税免税事業者B 店は6円をポッケナイナイするので、66円の利益となる。
非課税業者として制度上で認められているので、B店の行為は違法でないかも知れないが、どうにも腑に落ちない。
と言うのも、100円のものを売って、110円を払うことについて、消費者の心理としては「10円は税金として収めている。」と思っているわけだ。
それを事業者がポッケナイナイしておいて、「消費税は預かり税ではない。」の論はは、盗人猛々しいも甚だしいと感じてしまうし、「消費者を欺いている」という感想しか出てこない。
本当はもっと高尚・高度な理論があるのかもしれないが、私の理解ではそう感じてしまう。
では、消費税免税事業者は消費税を上乗せせずに販売すればいいのかと言うと、上記の例では4円をすでに支払っているので、消費税を消費者から得ないと、それはそれで、その分が損失になってします。さりとて、4円を上乗せすると、仕入原価も分かってしまうし、商品ごとに納入掛率は違うだろうから現実的にはそんなことは不可能なことも承知はしている。
そして、あまり世間的にもこれまで騒がれてこなかった事実から鑑みると、消費者的にはとどのつまり相手が非免税事業者だろうと、免税事業者だろうと10%を支払うことに変わりはない(上記の例では110円を支払う)ため、あまり興味がない方も多いのだと思う。
まぁ、なんにせよ、インボイス制度でこう言う(不正ではないけれど)一部の者のみが美味しい汁を吸う制度が改善されるのはいいことかと思う。(非課税業者がなくなるわけではないけれど)