行政書士:ワンフレーズあるいは対比
憲法・基礎法学
- 憲法
- 憲法の存在の仕方に着目
- 形式的意味の憲法
- 実質的意味の憲法
- 成文法
- 不文法
- 改正手続き
通常の法律より改正手続きが困難かどうか- 硬性憲法
- 軟性憲法
- 憲法の存在の仕方に着目
- 皇室の財産と費用に関する国会議決の衆議院の優越
- 皇室の財産授受に関する国会の議決( 8 条) には衆議院の優越は認められない。
- 皇室の費用に関する国会の議決(88条)には衆議院の優越が認められる。
- 表現の規制
- 表現の内容規制:表現の内容そのものに着目した規制。
政府の転覆を揺動する文書の禁止、国家機密に属する情報の公表の禁止。 - 表現内容中立規制:手段(時・場所・方法)に着目した規制。表現が伝達しようとするメッセージの内容には直接関係なく行われる規制。
学校近くでの騒音の規制、一定の選挙運動の制限。
- 表現の内容規制:表現の内容そのものに着目した規制。
- 財産権の保障(第29条)
- 私有財産制度(個人が財産権を享有することができる制度)の保障
- 国民の元に有している個別的、具体的な財産権の保障
- 議員の不逮捕特権
- 不逮捕特権は憲法第50条
- 現行逮捕の例外は国会法第33条
各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。 - (類似)国務大臣:在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。(憲法第75条)
- 免責特権
- 国会議員:あり(憲法第51条)
- 地方議会議員:なし(判例:最大判昭42.5.14)
- 国会議員が国会議員として職務活動を行なった行為にのみ認められ、国会議員である国務大臣が大臣として行なった発言等は免責されない。
- 最高裁判所の裁判官の罷免
- 裁判(分限裁判)により、心身の故障のため職務を執ることができないと決定された場合(第78条)
- 公の弾劾(弾劾裁判)(第78条)
- 国民審査(第79条)
- 特別地方公共団体である特別区は、第93条第2項の地方公共団体とは認められない。
区長は特別区の議会の議員の選挙権を有する者で年齢25年以上のものの中から特別区の議会が都知事の同意を得て選任するという方法を採用したとしても、立法政策の問題にほかならない。=「第93条:地方公共団体の長は直接これを選挙する」に違反しない。 - 下級裁判所の判決では少数意見を付すことはできない。
- 家庭裁判所の取り扱い
- 家庭に関する事件の審判および調停
- 少年保護事件の審判
- 人事訴訟の第一審の裁判(訴訟事件)
国会
- 衆議院の解散後の招集
- 解散に伴う総選挙後には、特別会が招集される。(第54条)
- 任期満了にともなう総選挙後には臨時会が招集される(国会法2条の3)
紛争解決制度
- 裁判の基本原則
- 当事者主義
主義・主張の主導権を裁判の当事者に委ねる。裁判所は最終的に優劣を判断するにとどめる。
民事裁判、刑事裁判ともに採用されている。 - 自由心証主義
裁判官の自由な判断に委ねる原則。民事裁判、刑事裁判ともに採用されているため、民事裁判、刑事裁判で異なる事実認定がされることもある。 - 証明責任(挙証責任[きょしょうせきにん])
民事裁判においては、一定の法律効果を主張する当事者がその効果の発生に必要な事実(要件事実)につき証明責任を負う。
刑事裁判では、原則として検察官が挙証責任を負う。(疑わしきは被告人の利益に)
- 当事者主義
- 裁判所の判決での少数意見
最高裁判所では少数意見を付すことができるが、下級裁判所の判決では少数意見を付すことはできない。 - 日本司法支援センター(法テラス)
- 情報提供業務
利用者からの問合せに応じて、 裁判等の法的紛争を解決するための法制度に関する情報、 弁護士や隣接法律専門職の業務及び弁護士会や隣接法律専門職者の団体の活動に関する情報を無料で提供する。 - 民事法律扶助業務
利用者からの個別の依頼に応じて、 法的紛争の解決方法について指導・助言を無料で行い、利用者の資力が十分でない場合には、弁護士や隣接法律専門職の中から適当な者を紹介して、その報酬・費用を立て替える。 - 国選弁護士関連業務
刑事事件の被告人又は被疑者に国選弁護人を付すべき場合において、裁判所からの求めに応じて国選弁護人の候補を指名して通知を行い、選任された国選弁護人にその事務を取り扱わせて、その報酬・費用を支払う - 司法過疎対策業務
いわゆる司法過疎地域において、 利用者からの個別の依頼に応じ、相当の対価を得て、 弁護士や隣接法律専門職に法律事務を取り扱わせる。 - 犯罪被害者支援業務
犯罪の被害者やその親族等に対して、 刑事手続への適切な関与やその損害又は苦痛の回復 ・ 軽減を図るための制度その他被害者やその親族等の援助を行う団体等の活動に関する情報を無料で提供する。
- 情報提供業務
行政法
行政法の一般的な方理論
- 地方公務員の任命・免職
- 任命行為:議論あり。契約とする説、行政処分とする説の両方あり。
- 免職:行政処分とされている。
- 人事院は内閣の所轄の下に置かれている。(国家公務員法第3条)
- 地方公務員(一般職)への労働三法
- 労働組合法、労働関係調整法:適用されない。(地方公務員法第58条第1項)
- 労働基準法:原則として適用される。(地方公務員法第58条第3項)
- 懲戒処分を受けた公務員
不服がある時は人事院に対してのみ審査請求をすることができる。(国家公務員方法第90条第1項) - 国家公務員と地方公務員の政治活動の制限
- 国家公務員:国家公務員法及びその委任を受けた人事院規則(国家公務員法第102条第1項、人事院規則14-7)
- 地方公務員:地方公務員法及び条例。(地方公務員法第36条第2項)
- 国家公務員の分限処分と懲戒処分
- 分限処分:免職、降任、休職、降給
- 懲戒処分:免職、 停職、減給、戒告
- 行政主体
- 公共組合:構成員が強制的に法人への加入及び経費の支払いを義務付けられ、その設立及び解散に国の意思が介在し、かつ、国の監督の下で公権力の行使が認められた法人。(例:国民健康保険組合)
- 独立行政法人:公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務等であっって、国が直接に実施する必要のないもののうち、 民間に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として設立される法人。(中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人)
- 特殊法人:法律により直接設立される法人または特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人であって、 その新設廃止等に関する審査が総務省によって行われるもの。(例:日本銀行)
- 法人
- 認可法人:民間の関係者が発起人となって自主的に設立する法人で、 業務の公共性などの理由によって、 設立については特別の法律に基づき主務大臣の認可が要件となっている法人。(例:NHK)
- 指定法人:特別の法律に基づき特定の行政事務を遂行するものとして行政庁により指定された民法上の法人であって、 行政処分権限を付与されたもの。(例:安全運転管理者に講習を行う機関)
- 行政立法
- 政令:内閣
- 内閣府令:内閣総理大臣
- 省令:各省大臣
- 訓令、通達:各省大臣、各委員会及び各庁の長官。(局長・部長等が通達を発することも認められる)
- 訓令・通達と告示
- 命令又は示達をするために発する。→訓令又は通達
- 公示を必要とするために発する。→告示
- 通達の発令・改廃行為が公権力の行使にあたるか。
- 国家賠償法第1条1項:あたる。:純粋な私経済作用ではなく、国家賠償法第2条にも該当しないから。
- 行政事件訴訟法第3条1項:あたらない。
- 行政立法
- 法規命令:法規(国民の権利・義務に関わる規定)を含む行政立法。
政令、内閣府令、省令、規則- 委任命令:法律の委任により国民に新たに権利義務の内容を定める法規命令。
- 執行命令:国民の権利・義務の内容を実現するための「技術的細目を定めるもの」。
- 行政規則:法規(国民の権利義務に関わる規定)を含まない行政立法
訓令、通達、告示- 解釈基準:法律の解釈をするための基準
- 裁量基準:行政裁量を行使するための基準
- 給付基準:補助金の交付や融資をするための基準
- 行政指導指針(指導要綱):行政指導をするための基準
- 法規命令:法規(国民の権利・義務に関わる規定)を含む行政立法。
- 行政罰
- 行政刑罰:刑事訴訟法により、刑事裁判によって科される。
- 行政上の秩序罰(過料)
届出など、軽微な形式的違反行為- 法令違反(国):非訟事件手続法により、裁判所の決定によって科される。
- 条例違反(地方公共団体):地方自治法により、地方公共団体の長の処分により科される。
- 所得税確定申告書の記載の内容についての錯誤の主張は、原則として認められない。(最判昭39.10.22
- 法定外公共物 (法定外公共用物)
従来、国有財産であっても、事実上地方公共団体が管理していることが多かったが、2000 (平成12) 年のいわゆる地方分権一括法により、その所有権を地方公共団体に譲与する手続等が整備された。 - 上級庁の取消しと撤回
- 取消し:上級行政庁もできる。
- 撤回:当該行政行為をした行政庁のみができる。
行政強制(行政代執行法、行政罰)
- 行政上の強制処置
- 行政強制
- 行政上の強制執行
- 行政代執行
- 執行罰(過料)
- 直接強制
- 行政上の強制徴収
- 即時強制
- 行政上の強制執行
- 行政罰
- 行政刑罰(刑事訴訟法)
- 秩序罰(過料)
- (法律違反:非訟事件手続法:裁判所)
- (条例違反:地方自治法:長の処分)
- 行政強制
- 行政代執行の戒告と通知
- 戒告:履行期限を定め、代執行をなすべき旨を戒告する。
- 通知:戒告で知らせた期限までに履行しない時は、代執行の日程、執行責任者、費用を執行伝令書をもって、通知する。
行政手続法
- 検察官会議で決すべき処分及び会計検査の際にされる行政指導
- 行政手続法の例外にあり。(第3条)
- 行政不服審査法の例外に無し。
- 処分の理由の提示の例外
- 申請拒否処分:申請が用件や数量や客観的指標を満たさないことが明らかな場合は、申請者の求めがあったときにその理由を示すだけで良い。
ただし、不利益処分と違い、差し迫った必要性についての言及はない。(第8条) - 不利益処分:当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合はこの限りでないが、処分後に理由を示さなくてはならない。
- 申請拒否処分:申請が用件や数量や客観的指標を満たさないことが明らかな場合は、申請者の求めがあったときにその理由を示すだけで良い。
- 複数の行政庁が関与する申請処分(第11条)
- 審査又は判断を殊更に遅延させてはならない。(法的義務)
- 必要に応じて相互連絡をしたり、共同して聴取をしたりして、審査の促進に努めること(努力規定)
- 公聴会、意見陳述手続
- 公聴会:申請に対する処分時(法令)
申請者以外の者の利害を考慮すべきことが法令において許可などの要件とされている場合。公聴会を開催して、意見を聞く様に努めなければならない。 - 意見陳述:不利益処分時
- 聴聞:重い不利益分
- 弁明の機会の付与:軽い不利益処分
- 公聴会:申請に対する処分時(法令)
- 聴聞手続に参加できるのは、不利益処分につき「利害関係を有するものと認められる者」。利益を害される者だけでなく、利益を得る者もOK。
※文書閲覧請求権は「当事者」及び「自己の利益を害されることになる参加人」なので、利益を得る参加人(相反利益関係人)に文書閲覧請求権はない。 - 利害関係者が参加できるのは聴聞のみ。弁明の機会の付与においては利害関係を有するものが参加することは認められていない。
- 主宰者と審理員の処理、関与者の資格
- 主宰者:不利益処分に係る事案の処理に直接関係したものであっても主宰者となれる。
- 審理員:処分・不作為、再調査の請求の決定に関与した者、関与することとのなる者は審理員になれない。
- 聴聞の再開にともなう、主宰者の提出書類の返戻について。
- 報告書:返戻する。
- 聴聞調書:返礼の必要なし。
- 弁明の機会と不服審査の口頭審理
- 弁明の機会:弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出してする。(第29条)。
※当事者から求めがあったとしても、行政庁が口頭ですることを認めることは任意的。 - 不服審査(審査請求):行政不服審査会は、審査関係人の申立てがあった場合には、当該審査関係人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認める場合には、この限りでない。(第75条)
- 文書閲覧権はない。
- 弁明の機会:弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明書を提出してする。(第29条)。
- 弁明書について
- 不利益処分における弁明の機会の付与における弁明書:不利益処分の名宛人から行政庁に提出されるもの。
- 審査請求(審理)における弁明書:審理員の求め応じ、処分庁等が審理員に提出するもの。
(※審査請求人は弁明書を審理員から受け取った後、さらに反論書を提出することできる)
- 申請・審査請求の不備に対する対応(行政手続法と行政審査法)
- (行手法)申請に対する不備:相当の期間を定めて補正を求めるか、許認可などを拒否。
- (行審法)審査請求書が不備:相当の期間を定め、不備を修正することを命ずる(義務)。
- 給付に係る命令等
- 不利益処分:適用除外(金銭の納付を命じたり、給付を取消したりなど。)
- 意見公募手続き:適用される。
- 請求期間(審査請求)と出訴期間(取消訴訟)/主観
(※客観はすべて1年以内)- 審査請求:3ヶ月以内
- 再調査請求の決定後:1ヶ月以内
- 出訴期間:6ヶ月
行政不服審査法
- 代理人の資格
- 審査請求(行政不服審査法):法定の資格は必要ない。
- 訴訟代理人(行政事件訴訟法):法令により裁判上の行為をすることができる代理人、弁護士
(簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。)
- 承継人の審査請求人としての、地位の承継
- 包括承継:当然に審査請求人の地位が承継される。
- 特定承継:地位の承継には審査庁の許可が必要。審理員の許可ではないことに注意。
- 行政庁の訴訟参加制度
- 行政不服審査法:制度なし。
- 行政事件訴訟法:処分・裁決庁以外の行政庁の参加も、当事者若しくはその行政庁の申立て、又は裁判所の職権で、決定をもってその行政庁(処分・裁決庁以外)を訴訟に参加させることができる。ただし、当事者及び当該行政庁(処分・裁決庁以外)の意見を聞かなければならない。(第23条)
- 執行停止に対する内閣総理大臣の異議の制度
- 行政不服審査法:制度なし。
- 行政事件訴訟法:内閣総理大臣はやむを得ない場合、理由を附して異議を述べることができる。(第27条)
裁判所は、内閣総理大臣の異議に反して、執行停止ができないし、すでに執行停止がされていたら取り消さなければならない。
- 書面審理主義の例外(審査請求と意見陳述)
- 審査請求:審査請求は、審査請求書を提出してしなければならない。ただし、他の法律・条例に口頭ですることができる旨の定めがある場合は口頭でもできる。(第19条)
- 審理の口頭意見陳述:審査請求人・参加人からの申し立てがあれば、困難な場合を除いて、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。(第31条)
※審査請求人・参加人とも(申立人)は、審理員の許可を得て、処分庁等に対して、質問を発することができる。
- 審理関係者の招集制限
- (申立てによる)口頭意見陳述:審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。(第31条)
- 審理手続の計画的遂行:審理員は、審理すべき事項が多かったり錯綜したりしているときは、審理関係人(全ての審理関係者を招集する必要はない)を集めて意見を聴取することができる。(第37条)
- 取消裁決・取消判決の拘束力
- 行政不服審査法:裁決は、関係行政庁を拘束する。(第52条)
- 行政事件訴訟法:処分・裁決を取り消す判決は、処分・裁決をした行政庁や関係行政庁を拘束する。(第33条)
(同一事情で、同一内容で取り消された処分と同一の処分を禁止すること)
- 事情裁決
- 審査請求:あり(第45条)
- 再調査請求:なし(第61条)
- 再審査請求:あり(第64条)
- 不利益処分への変更
- 審査庁は、審査請求人に不利益に処分を変更することはできない。
- 裁判所は、判決で原告の不利益に処分を変更することはできない。(裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。民事訴訟法第246条)
- 裁決の拘束力
- 審査請求・再審査請求の裁決は、関係行政庁を拘束する。
- 再調査の請求に対する決定については、拘束の規定はない(準用されていない)。
- 行政不服審査会
- 委員は総務大臣が任命する。(内閣総理大臣じゃないよ!(第69条))
- 再調査の請求および再審査請求において、行政不服審査会等への諮問をする必要はない。
- 教示
(たとえば、審査請求の請求も取消訴訟も提起できる処分を行う場合、両方とも教示しなくてはならないと言うことか?)- 行政不服審査法:行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。(第82条)
(※再審査請求には教示義務はない!?)
- 行政事件訴訟法:取消訴訟を提起することができる処分・裁決をする場合は、被告とすべき者、出訴期間、審査請求前置主義がある場合はその旨を、書面で教示しなければならないが、口頭で処分をする場合は不要。(第46条)
利害関係者からの求めには応じる必要はない。教示をしなかった場合の救済については制定されていない。
- 行政不服審査法:行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立てをすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。(第82条)
行政事件訴訟法
- 再調査の請求に対する決定も「裁決取り消しの訴え」の対象となる。(※処分取り消しの訴えではない。)
- 取消訴訟に審査請求前置主義が置かれていても、無効確認訴訟には審査請求前置主義は準用されない。
- 適用除外の規定
- 行政手続法:あり(第3条)
- 行政不服審査法:あり(第7条)
- 行政事件訴訟法:なし
- 原告適格
- 行政不服審査法:行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができる。(第2条)
(※「法律上の利益を有する者」とは明示されていない。不服がある者を「法律上の利益を有する者」とした判例はある。) - 取消訴訟:法律上の利益を有する者。(第9条)
- 無効確認等の訴え:①当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれがある者その他当該処分又は②裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分もしくは裁決の存否又はその効力を有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限る。
(争点訴訟や公法上の当事者訴訟で争うことができるときは、無効確認等の訴えはできない。) - 不作為違法確認:法令に基づく申請をした者のみが提起できる。(第37条)
(※その申請が適法である必要はない。)
- 行政不服審査法:行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができる。(第2条)
- 都市計画法における開発許可取消しの訴えの利益
- 市街化調整区域:開発行為に関する工事が完了した場合でもあっても、訴えの利益は失われない。(最判平27.12.14)
- 市街化区域:開発行為に関する工事が完了した場合、訴えの利益は失われる。(最判平11.10.26)
市街化「調整」区域と違い、市街化区域はどないせ最終的には「市街化」されるんでしょ?ってことかな?
- 出訴期間の定めなし
- 無効確認の訴え:そもそも無効なんだから期間なんか関係ない。
- 処分の差止めの訴え:これが感覚的に腑に落ちない。
- 義務付けの訴え:不作為なところに義務付けの訴えなんだから不作為の間は出訴可能。
- 不作為違法確認の訴え:不作為の間は出訴可能。しかも現実に申請した者であれば、申請の適法・不適法を問わない。
- 事情判決は取消訴訟以外の抗告訴訟には準用されていない。
- 判決の効力
- 既判力
裁判所において判決が確定した場合に、当事者及び裁判所が、その訴訟の対象となった事項について、異なる主張・判断をすることができなくなるという効力。 - 形成力
処分 裁決の効力を処分・裁決がなされた当時にさかのぼって消滅させる効力のこと。
取消判決の形成力は、原告と被告の間のみならず、 第三者に対しても及ぶことになります (32条1項)。 これを取消判決の第三者効と言う。 - 拘束力
行政庁に対し、 処分・裁決を違法とした判断を尊重し、取消判決の趣旨に従って行動することを義務付ける効力のこと ( 33条1項)。
(※申請を認める処分の取消請求を棄却する判決には、拘束力はない)- 消極的効力(反復禁止効力)
行政庁は、取り消された行政処分と同一の事情の下で同一の理由に基づいて同一内容の処分をすることができなくなる。 - 積極的効力
申請拒否処分又は審査請求の却下棄却裁決の取消判決が確定した場合、その処分・裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従って、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない (33条2項)
- 消極的効力(反復禁止効力)
- 既判力
- 当事者等の意見
- 行政庁の訴訟参加:当事者及び当該行政庁(処分・裁決庁以外)の意見を聞かなければならない。
- 職権証拠調べ:当事者の意見を聞く必要がある。
- 執行停止(仮の義務付け・差止め)の決定:当事者の意見を聞く必要がある。(口頭弁論は不要)
- 事情変更による執行停止の取り消し:当事者の意見を聞く必要がある。(口頭弁論は不要)
- 執行停止/事情変更による執行停止の決定取り消し。
- 原告の申立て:できる。
- 裁判所の職権:できない。
- 行政処分の存否又はその効力の有無の確認の求め。
- 民事訴訟(争点訴訟)や実質的当事者訴訟:無効等確認の訴えに優先する。
- 無効等確認の訴え:現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができない。
- 義務付けの訴えの訴訟提起
- 重大な損害(第37条)
- 非申請型の:重大な損害を生じるおそれがあること。
- 申請型:損害の重大性は要求されていない。
- 補充性(第37条)
- 非申請型:損害を避けるために他に適当な方法がないこと(補充性)。
- 申請型:損害の補充性は要求されていない。
- 原告適格
- 非申請型:一定の処分をすべき旨を行政庁に命ずることをもとめるにつき「法律上の利益を有する者」
- 申請型:法令に基づく申請又は審査請求をした者。
法令に基づいていればよく、その申請が適法である必要性ないと解釈されている。
- 併合提起
- 非申請型:併合提起は不要。
- 申請型:併合提起が必要。
義務付けが容認されるためには、併合提起に係る請求に理由があること等が認められる必要がある。
- 判決には拘束力はあるが、第三者効の規定は準用されない。
- 重大な損害(第37条)
- 弁済供託
- 弁済供託は民法上の寄託契約の性質を有する。
- 時効は10年。(公法上の金銭債権についての5年は採用されない)
- 供託金払戻請求が民法上の寄託物返還請求とは解されていない。
- 時効の起算点は、供託者が免責の効果を受ける理由が消滅した時。(供託の基礎となった債務について紛争が解決した時等)
- 払戻請求が却下されたときは審査請求もできる。
- 弁済供託は民法上の寄託契約の性質を有する。
- 判例
- 朝日訴訟
生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であって、保護受給権と称すべきものと解すべきである。 - 大学の単位・専攻科修了の不認定
- 単位不認定行為:司法対象とならない。(部分社会の法理)
- 専攻科終了の不認定:司法対象となる。(内部問題にとどまらない)
専攻科終了の要件を充足したにもかかわらず認定しないことは、学生の国立大学の利用を拒否するにことにほかならない。
- 朝日訴訟
- 事情判決
取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、 これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、 処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、 裁判所は、請求を「棄却」 することができる(第31条)- 事情判決において、その違法性を理由として、被告に損害賠償を命ずることはできない。
- 事情判決は、取消訴訟以外には準用されていない。
- 裁判所は、事情判決の主文で、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
- 事情判決は棄却。
- 上訴は、原告・被告ともにすることができる。
- 民衆訴訟のうち処分又は裁決の取消しを求めるものについては、事情判決に関する規定が準用されている(第43条)
- 選挙の無効訴訟において、事情判決と同様の判決がなされた例はある。
- 行政不服審査法にも類似の「事情裁決」がある。
- 公職選挙法上の選挙の効力に関する訴訟には準用されていない。
- 憲法に直接基づいてする損失補償請求の訴訟は実質的当事者訴訟に該当する。
国家賠償法
第1条
- 国家賠償請求訴訟は「民事訴訟」(※行政事件訴訟法が適用されることはない。)
- 公務員個人を被告とする損害賠償請求には理由がなく棄却となる。(※却下ではない)
- 公権力の行使
- 健康保険上の被保険者資格の基準に関する通知の発出
- 裁判官の裁判過程における行為
- 国会議員の立法課程における行為
- 都道府県警察の警察官の故意・過失による賠償責任は基本的には都道府県。(検察官の犯罪捜査を補助する様な例外的な場合には「国」が責任を負う。)
- 民間に委託した業務(建築基準法に基づく指定確認検査機関、児童福祉法に基づく社会福祉法人)に関する責任は国や公共団体が負い、被用者や使用者は民法709条に基づく損害賠償責任を負わない。
- 加害行為を公務員に対する求償権
- 故意又は重過失が必要。(※軽過失では求償できない)
- 消滅時効は、民法の債権等の消滅時効の規定が適用される。(※不法行為に基づく損害賠償の消滅時効期間ではない。)
- 弁護士費用は求償できない。(損害賠償額全額、法定利息まで)
- 国家賠償法ではなく民法の規定が適用される場合
国家賠償法に規定がない事項に関しては民法の規定が適用される。- 公権力の行使に該当しない公務員の活動に起因する賠償責任
具体例:国立病院の医療過誤に関する責任(最判昭36.2.16)
- 公権力の行使に起因する損害の賠償責任で、国家賠償法に規定がない事項
- 公の営造物に該当しない国有財産の瑕疵に起因する損害
- 損害賠償(国家賠償)請求権の消滅時効(出訴期間:民法第724条)
主観3年、客観20年。(国家賠償法に出訴期間の制限の記載はない。だから民法)
- 公権力の行使に該当しない公務員の活動に起因する賠償責任
第2条
- 公の営造物とは公物
- 公物:公用又は公共の用に供している有体物(不動産、動産)。
(※国や公共団体が所有するすべての物的施設を言うわけではない。)
- 公物:公用又は公共の用に供している有体物(不動産、動産)。
第3条以降
- 都市計画法の用途地域指定は損失補填できない。
都市計画法の用途地域指定による利用規制は、一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えて特別の犠牲を課せられたと言うことが未だに困難であるから、直接憲法29条3項を根拠として損失補填の請求をすることはできない。 - 消防法違反状態になったガソリンタンクの移設費用は損失補填できない。
- 土地収容に伴う損失補償は「完全補償」。(「相当な補償」ではない。)
- 移転に伴う営業利益の損失も対象となる。
- 代替地の提供による補償も認められる。(土地収用法第70条、第82条)
- 都市計画決定による建築制限が課されていても、補償すべき相当な価格は、被収用地が建築制限を受けていないとすれば、裁決時において有するであろうと認められる価格を言う。(最判昭48.10.18)
- 不服の内容が損失の補償に関するものであるときは、土地所有者が提起すべき訴訟は当事者訴訟となる。
- 隣地の所有者等の関係人も補償を受けることがある。
- 火災時の消火活動時の即時強制による被害の損失補償請求はできる。(消防法による)
地方自治法
- 都道府県
市町村を包括する広域の地方公共団体として、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものの事務で、- 広域にわたるもの(広域事務)
- 市町村に関する連絡調整に関するもの(連絡事務)
- その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるもの(補完事務)
を処理するものとする。
- 地方自治法の目的
- 地方自治の本旨に基づき、(中略)
- 民主的にして能率的な行政の確保を図り、
- 地方公共団体の健全な発達を保障する。
- 条例による刑罰・過料規定
- 法律の個別委任がなくても、条例で刑罰や過料を規定することができる。(第14条第3項)
- 2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑
- 5万円以下の過料
- 個別の法律に罰則の定めのある場合でも、条例でより厳しい罰則規定をすることも可能。(第14条第3項以内)
- 私人の権利義務に直接かかわる条例を定める場合でも、法律の個別授権は不要。
- 行政上の強制執行が許される場合でも刑罰を設けられる。
- 法律の特別な授権がなくても、財産権規制の条例も認められる。
- 条例で罰則を施行規則に包括委任することはできない。
- 法律の個別委任がなくても、条例で刑罰や過料を規定することができる。(第14条第3項)
- 条例違反と規則違反
- 条例違反:行政刑罰又は行政上の秩序罰
- 規則違反:行政上の秩序罰
- 行政罰(行政刑罰と行政上の秩序罰)
- 行政刑罰(科料など):刑事訴訟法に基づき裁判所が科す。
(死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料) - 行政上の秩序罰(過料):
- 地方公共団体の長が地方自治法の手続きによって科す。
- 国の法令に定められている過料は裁判所が非訟事件手続法の定める手続きによって科す。
- 行政刑罰(科料など):刑事訴訟法に基づき裁判所が科す。
- 公務員の賠償責任の訴え
- 公務員「個人」を被告とする賠償請求の訴えは、理由がないとして「棄却」される。
- 「行政機関」として公務員を被告とする訴えは、不適法として「却下」される。
- 100条調査権の除外
- 自治事務:労働委員会・収用委員会の権限で政令で定めるもの。
- 法定受託事務:国の安全を害する恐れがあるなど政令で定めるもの。
- 議長と副議長の辞職
- 議長は、議会の許可を得て辞職することができる。議会の閉会中は辞職できない。
- 副議長は、議会の許可を得て辞職することができる。議会の閉会中は議長の許可を得て辞職することができる。
- 臨時会(議会)の招集(第101条)
- 長:付議すべき事件をあらかじめ告示して招集する。
- 議長:①議会運営委員会の議決を経て、②長に対して付議すべき事件を示して、③招集を請求することができる。(招集はあくまでも長)
- 議員:①議員定数の4分の1以上で、②長に対して付議すべき事件を示して、③招集を請求することができる。(招集はあくまでも長)
※議長、議員の請求があった日から20日以内に、長が臨時会を招集しない時は、議長が招集できる。
- 秘密会(議会)(第115条)
- 発議:議長又は議員3人以上。(長は含まれない)
- 議決:出席議員の3分の2以上。
- 常任委員会、議会運営委員会、特別委員会
- 地方公共団体の議会:置くことができる(任意)
- 国会:必須機関
- 常任委員会への所属義務
- 地方公共団体の議員:地方自治法に既定なし。
- 国会議員:議員は、官職を兼ねる者を除き、必ずその議院・議会の常任委員会の一つ以上に所属する(国会法第42条)
- 外部監査制度
- 包括 外部監査制度:都道府県、指定都市、中核市は必須。それ以外は条例により任意。
- 個別 外部監査制度:条例により任意で導入。
- 議会の議決に対する、長の再議要求後の再可決(第176条)
- 予算と条例:出席議員の3分の2以上
- その他:出席議員の過半数。
- 長の先決権
議会において議決すべき事件を議決しない時- 地方公共団体の長:専決処分をすることができる(第179条)
※例外:副知事、副市長さん、指定都市の総合区長の選任の同意についての議決。
- 内閣:専決処分は認められていない。
- 地方公共団体の長:専決処分をすることができる(第179条)
- 長の議会の解散権
- 不信任決議があったときのみ。(信任決議の否決では足りない。)
- 「非常の災害による応急若しくは 復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費を削除し又は減額する議決が再議に付され、議会の議決がなおこれを削除し又は減額したとき」も、長は、その議決を不信任決議があったこととみなすことができるので、議会を解散させることができる。が、長が不信任決議とみなさなければ議会の解散も、長の失職のいずれもしなくてもよい。
- 不信任決議があったときのみ。(信任決議の否決では足りない。)
- 会計の予備費
- 一般会計:予備費を計上しなければならない。
- 特別会計:予備費を計上しないことができる。
- 地方公共団体の金融機関の指定(第235条)
- 都道府県:義務
- 市町村:任意
- 住民監査請求によって請求することができる内容は、法定された4類型には限定されない。
- 事務監査請求と住民監査請求の請求期間
- 事務監査請求:請求期間の制限なし。
- 住民監査請求:行為のあつた日又は終わった日から1年。(正当な理由を除く)
- 行政事件訴訟法にあって住民訴訟にないもの
- 事情判決を認める規定
- 執行停止の申立てを併合提起すること
- 公物
- 公用物
- 公共用物
- 道路、河川など
- 公の施設
- 公園など
- 公の施設の区域外設置
- 関係普通地方公共団体との協議 &
- 関係普通地方公共団体の議会の議決
- 国の大事による代執行
- 都道府県による法定受託事務の執行については手続きあり。(第245条の8)
- 自治事務の執行について、大臣による代執行の手続きはない。
- 国の関与
- 法定受託事務・自治事務ともに、法律又はこれに基づく政令によらなければならい。(関与の法定主義)(第245条の2)
- 法定受託事務・自治事務ともに、関与の必要最小限の原則が適用され、普通地方公共団体の自主性と自立性に配慮することが要求される。(第245条の3)
- 都道府県が、法令違反や適正を欠いている等がある場合の大臣の対応
- 法定受託事務:違反の是正または改善のために講ずべき処置に関し、必要な指示をすることができる。
- 期限を定めて是正すべきことを勧告し、指示する。
- 期限までに対応しない場合は、高等裁判所に訴えを持って命ずる旨の判決を請求する。
- 自治事務:違反の是正または改善のために講ずべきことを求めることができる。
- 法定受託事務:違反の是正または改善のために講ずべき処置に関し、必要な指示をすることができる。
- 大臣は法定受託事務について処理基準を定めることができる。(都道府県との協議は不要)
- 処理基準は、一般的基準であり、個々具体的な事例を対象とすることはできない。
- 都道府県の執行機関の市町村への関与
- 第一号法定受託事務、第2号法定受託事務ともに、市町村が当該法定受受託事務を処理するにあたり、よるべき基準を定めることができる。
- 知事は市町村長と市町村の執行機関(教育委員会と選挙管理委員会を除く)の担任する法定受託事務
- 都道府県選挙管理委員会は、市町村選挙管理委委員会の担任する法定受託事務
- 都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の担任する法定受託事務。
- 知事は、関係のある市町村及び特別区に対し、一部事務組合又は広域連合を設けるべきことを勧告することができる。
(大臣は、都道府県に対し、一部事務組合又は広域連合を設けることを勧告することはできない。)
- 国地方係争処理委員(第250条の9、第251条)
- 優れた見識を有する者
- 両議員の同意
- 総務大臣が任命
- 自治紛争処理委員(第251条)
- 優れた見識を有する者
- 3人
- 総務大臣又は都道府県知事が任命
- 事件ごとに任命(非常勤)
商法・会社法
商法
- 本人死亡による委任による代理の消滅について
- 民法:本人の死亡により代理権は消滅する。(民法第111条)
- 商法:本人の死亡によっては、委任による代理権は消滅しない。(商法506条)
- 持分会社の出資のタイミング
- 合資会社の有限責任社員は、会社設立時など事前に出資を履行しておく必要はない。
有限責任社員の出資が未履行の場合、会社債権者はその出資額を限度として、直接、有限責任社員に弁済を請求することができる。
- 合同会社は株式会社と同様に会社設立時に出資を履行しておく必要がある。
- 合資会社の有限責任社員は、会社設立時など事前に出資を履行しておく必要はない。
- 場屋営業者の客の物品について
- 寄託を受けた場合:不可抗力による滅失・損傷であることを証明しないかぎり責任を免れない。
保管に関して、注意を怠らなかったことを証明するだけではダメ。 - 寄託を受けていない場合:寄託を受けていない物品については契約責任を負わないはずだが、場屋営業の信用維持の観点から、場屋営業者の不注意によって損傷を受けたときは、場屋営業者はその物品に生じた損害を賠償する責任を負う。
この場合、客が携帯する物品について責任を負わない旨を掲示していても通用しない(責任を負う)
- 寄託を受けた場合:不可抗力による滅失・損傷であることを証明しないかぎり責任を免れない。
会社法
会社設立
- 設立時発行株式に関する事項の決定(第32条)
発起人は、株式会社設立に関して、次に掲げる事項を定めようとする時は、発起人全員の同意を得る必要がある。ただし、定款に定めがある場合を除く。
(※定款に必ず定めておく必要のない事項とも言える)- 発起人が割り当てを受ける設立時発行株式の数
- 発起人が割り当てを受けた株式数に対して払い込む金銭の額
- 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
- 取締役会設置会社の監査役(会社法327条)
取締役会設置会社は、監査役を置かなくてはならい。- 監査等委員会または指名委員会等設置会社:監査役を置けない。
- 公開会社でない会計参与設置会社:監査役を置かないこともできる。
- 株式会社の解散(第309条、第471条)
- 定款で定めた存続期間の満了の発生(清算が結了するまでは、株主総会の特別決議で継続できる)
- 定款で定めた解散の事由の発生(清算が結了するまでは、株主総会の特別決議で継続できる)
- 株主総会の特別決議 (清算が結了するまでは、株主総会の特別決議で継続できる)
- 合併により当該株式会社が消滅する場合
- 破産手続開始の決定
- 解散を命ずる裁判
株式
- 取締役・監査役を選解任権付き株式:公開会社と指名委員会等設置会社では発行することができない。
- 株主名簿の閲覧請求
- 親会社社員:権利行使したのために必要があるとき、理由を明らかにしてかつ裁判所の許可を得て行える。(場合によっては、会社も拒否できるし、裁判所も許可を出さない)
- 株主と債権者は、裁判所の許可は不要。理由は明らかにしないといけない。親会社社員と同様に、場合によっては会社は拒否できる。
- 株券喪失登録簿の閲覧請求:何人も利害関係がある部分に限ってできる。
- 譲渡制限付株式(取締役会設置会社)の譲渡承認請求
- 取締役会の決議で、譲渡の承認ができる。
- 取締役会の決議で、全部又は一部を買い取る者を指定することができる。
- 会社が買い取る場合には、取締役会の決議では足りず、株主総会の特別決議が必要となる。
(対象株式の種類と数を定める)
株主総会
- 違反する株主総会決議(内容)
- 法令に違反:決議無効確認の訴え
- 定款に違反:決議取消しの訴え
- 違反する招集の手続き・決議の方法
- 法令違反・定款違反ともに決議取り消しの訴えを提起することができる。
- 招集の際の目的の事項・議案の通知
- 株主総会:必要
- 取締役会:不要
取締役・取締役会
- 取締役の員数不足
- 任期満了、辞任:新たな取締役が就任するまでの間は、引き続き取締役としての権利義務を有す。
- 解任による退任:員数不足であろうと、取締役として権利義務を有しない。(正当な自由により解雇されたか否かに関わらない。)
- 取締役の解任の訴えの提起
- 取締役を解任する旨の議案が株主総会にて否決されたこと(等)が要件。
- 訴えの提訴期間は、否決後、30日以内。
- 会社と役員との保証契約
- 防御費用、第三者に対する損害賠償金及び和解金については、株主総会(取締役会)の決議
- 職務執行に関し「株式会社」に生じた損害を賠償する損害賠償金及び和解金については保証契約をすることができない。
- 株主の取締役会請求権
監査役・監査等委員会・指名委員会等が未設置で取締役会設置会社の株主は、取締役が法令・定款違反行為をするかおそれがあると認めるときは、取締役に取締役会の招集を請求できる。
裏を返すと、監査役等が設置されている場合は、株主には取締役会の招集請求権はない。 - 取締役会の招集
取締役全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく開催することができる。
(※監査役がいる場合は監査役の同意も必要。)
(※会計参与がいる場合は、計算書類を承認する招集の場合は会計参与の同意も必要。計算書類の承認を行うのでなければ、会計参与がいても同意不要。) - 取締役会議事録の閲覧請求
- 監査役等が設置されている:裁判所の許可
- 監査役等が設置されていない:その権利を行使するために必要であれば、営業時間内はいつでも閲覧を請求できる。
- 債権者:役員又は執行役の責任を追求するために必要があるときは、裁判所の許可を得て営業時間内であればいつでも閲覧を請求できる。
- 特別取締役
- 登記が必要(特別取締役による議決の定めがある旨、氏名、社外取締役である旨)
- 業務執行権のある子会社の取締役は、親会社の社外取締役となることはできない。
(→業務執行権のない子会社の取締役は、原則として、親会社の社外取締役を兼任することができる。)
会計参与
- 公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人
(※税理士と税理士法人は会計監査人にはなれない) - 子会社の取締役・監査役・執行役・支配人は親会社の会計参与になれない。(そりゃ、意見も言えんもんな)
- 子会社でなくても、取締役、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人と兼任もできない。
- 株主総会で、会計参与の報酬額について会計参与は意見を述べることができる。
監査役・監査役会
- 監査役は、株式会社もしくは子会社の、取締役・支配人・使用人・当該子会社の会計参与若しくは執行役を兼ねることができない。
- 非公開会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)
- 取締役が、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出する場合には、監査役過半数以上の同意を得なければならない。(第343条)
(解任の場合には監査役・監査役会の同意は不要。解任は特別決議。) - 監査役は、取締役に対し、監査役の選任を株主総会の目的とすること又は監査役の選任に関する議案を株主総会に提出することを請求することができる。(第343条)
- 取締役会設置会社において、取締役VS会社の事案があり、監査役および指名委員会等が未設置の場合、会社代表は代表取締役(あるいは取締役会が代表を定めることもできる)。
(監査役がいる場合は監査役が会社代表) - 会計監査人を解任できる。(2人以上の監査役がいる場合は全員の同意が必要)
- 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
- 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
- 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
会計監査人
- 報酬
- 取締役会が決める。(株主総会の決議ではない。)
- 監査役会設置会社では、監査役・監査役会の同意(半数以上)を得なければならない。
指名委員会等設置会社
- 社外監査役と社外取締役
- 監査役会設置会社:半数以上は社外監査役でなくてはならない。(過半数でないところに注意)
- 監査委員会:過半数は社外取締役でなくてはならない。
- 指名委員会の委員の解嘱は、取締役会の決議でできる。(監査委員の決議不要)
- 指名委員会
- 株主総会に提出する取締役の選任・解任に関する議案内容を決定する。(選任・解任の権限を有するわけではない。)
- 執行役の個人別の報酬等を決定する。使用人を兼ねているときはその使用人の報酬等も決める。
- 執行役
- 選任・解任は取締役会の決議による。(指名委員会ではない)
- 代表執行役の選定は取締役会が行う。
その他
一般知識(政治・経済)
- PFI事業(民間資金等活用事業)
民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ) を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行うものである。
地方公共団体が発注者となって公共事業として行うものである。 日本では、1999年にPFI推進法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律) が制定され、同法に基づいてPFI事業を実施できるようになった。
※JRやNTTのような民営化とはとは異なる。 - 特区民泊
国家戦略特区(国家戦略特別区域) において、対象施設が一定の要件に該当することについて都道府県知事が認定することで、 旅館業法の適用が除外される「特区民泊」(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)の取組みが、 2016年1月に全国で初めて東京都大田区で開始した。 - 国債
- 建設国債
- 財政法に基づいて発行される。
- 国の資産を形成するものとして、公共事業費、出資金および貸付金の財源に充てるために発行される国債
- 一般会計において発行され、一般会計の収入となる。
- 赤字国債(特殊国債)
- 特例法に基づいて発行される。
- 建設国債を発行してもなお歳入が不足すると見込まれる時。
- 一般会計において発行され、一般会計の収入となる。
- 財投債(財政投融資特別会計国債)
- 特別会計に関する法律に基づいて発行される
- 財政融資資金において運用の財源に充てるために発行される。
- 財投機関債(国債ではない)
- 特殊法人等の財政投融資機関(財投機関)が民間の金融機関において個別に発行する債権のうち、政府が元本や利子の支払いを補償していいない公募債権(国債ではない)。
- 建設国債
- 女性活躍推進法
- 2015年制定
- 女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表など。
- 国、地方公共団体および常時雇用する労働者が101人以上の民間企業に義務付け。
- 個人情報保護法の言葉の定義
- 個人情報
生存する個人に関する情報- 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの。他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。
- 個人識別符号が含まれるもの
- 個人識別符号
いずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。- 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
- 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの。(要するに、会員番号とか)
- 要配慮個人情報
本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報。
(要するに、扱いに特に注意が必要な、デリケートな個人情報)
- 仮名加工情報
他の情報と照合しない限り、特定の個人を識別することができないように、個人情報を加工して得られる個人に関する情報。 - 匿名加工情報
特定の個人を識別できないように個人情報を加工したもの。 - 個人関連情報
生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないものをいう。
- 個人情報
- ・・・の波
- コンドラチェフの波:周期約50年:技術革新など
- クズネッツの波:周期約20年:建造物の建替え
- ジュグラーの波:周期約10年:設備更新のための投資
- キチンの波:周期約40カ月:企業の在庫の増減
その他のまとめ
- 自己と同一の注意義務
- 受領遅滞(特定物の保管)(第413条)
債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。 - 無報酬の受寄者の注意義務(第659条)
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。 - 相続放棄による財産の管理(第940条)
相続を放棄した者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
- 受領遅滞(特定物の保管)(第413条)
未整理
- 相殺の意思表示には、条件・期限とも付けることができない。(第506条)
- 差押禁止債権が受働債権であるときは相殺できない。(第510条)
(例えば、扶養料) - 代物弁済の所有権の移転
- 所有権移転の効果は、代物弁済契約の意思表示がされたときに生じる。
- 債権消滅の効力は、所有権移転の意思表示では足りず、所有権移転登記手続きによって生じる。
- 留置権と同時履行の抗弁権
- 相手方の債務が弁済期にないとき
- 留置権:主張できない。
- 同時履行の抗弁権:主張できない。
- 相当の担保を提供しての権利の消滅
- 留置権:消滅を請求できる。
- 同時履行の抗弁権:担保提供による消滅は認められていない。
- 権利成立後に目的物を譲り受けた者への主張
- 留置権:主張できる。
- 同時履行の抗弁権:主張できない。同時履行の抗弁権は、原則として契約の相手方のみ。
(例:AがBへ動産を売り、BがAへ支払いをする前にCに売却して、CからのAへの動産の引渡については、同時履行の抗弁権を行使して引き渡しを拒むことはできない)
- 引渡請求に対する引き渡しを命ずる判決(引換給付判決)
- 留置権、同時履行の抗弁権ともに、被告がその抗弁として留置権・同時履行の抗弁権を主張したときは、原告の請求を棄却するのではなく、原告の債務の履行と引換えに被告に引き渡しを命ずる判決(引換給付付判決)がなされる。
- 目的物の競売
- 留置権:長期保存に適さない等、競売権が認められている。
- 同時履行の抗弁権:競売権は認められていない。
- 相手方の債務が弁済期にないとき
- 書面によらない不動産の贈与の解除
書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、 履行の終わった部分については、解除をすることができない (民法550条)。- 未登記の不動産:引渡しがされたときは、登記の有無を問わず、「履行の終わった」こととなる。
- 引渡がされ、登記の移転がされなかった場合:「履行の終わった」こととなる。
- 引渡しはされていないが、登記の移転がされた場合:「履行の終わった」こととなる。
- 即時取得(動産、平穏な取引行為、善意無過失で、原始取得する)
- 代物弁済でもOK
- 登録を受けている自動車には、即時取得の適用はない。
- 占有改訂は認められない。
- 指図による占有改訂は認められる。
- 有効な取引であること
- 無権代理や誤って入手した場合等はダメ。
- 質権設定はOK。(他人の所有物に質権を設定する)
- 盗品・遺失物は占有回復を請求できる。(横領はダメ)
- 債権者代位権と詐害行為取消権の裁判外の可否
- 債権者代位権は裁判外OK
- 詐害行為取消権は裁判外NG
- 使用貸借と賃貸借
- 借主の死亡
- 使用貸借は、借主の死亡によってその効力を失う。(民法597条第3項)
貸主の借主その人自身に対する善意が基礎にあるから。 - 賃貸借は、借主が死亡しても賃貸借の効力には影響がない。
- 使用貸借は、借主の死亡によってその効力を失う。(民法597条第3項)
- 修繕費等の通常の必要費
- 使用貸借:借主の負担。
- 賃貸借:賃貸人の負担。(賃貸のアパートなど、基本的な修理は大家さん負担)
- 共通項目
- 契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。
- 使用貸借において、契約違反の使用・収益による損害賠償および借主が支出した費用の支出の償還請求は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内。(第600条)。賃貸借に準用(第622条)
- 借主の死亡
- 債権者代位権が行使できない例
- 債務者が自ら権利を行使している場合。その方法が不誠実かつ不適当であってもダメ!
- 財産分与請求権を被保全債権とすることはできない。
- 単に推定相続人であるというだけでは、被相続人の権利を代位できない。
- 具体的内容が形成される「前」の離婚に伴う財産分与請求権は代位の対象とならない。
- 登記請求権を代位行使する場合は、直接自己へ登記の移転を請求できない。
- 債権者代位権が行使できる例
- 動産の引渡請求権を行使する場合の自己への引渡。
- 土地への不法占拠者に対する物権的請求権の代位行使
- 債務者の登記請求権の代位行使
- 未登録の権利についての登記申請
- 消滅時効の援用の代位
- 具体的な金額が客観的に確定した場合の慰謝料請求権
- 債権者代位権と詐害行為取消権の裁判上の必要性
- 債権者代位権:裁判上でも裁判外でも行使できる。
- 詐害行為取消権:裁判外の行使は認められない。
- 債権者代位権と詐害行為取消権の債権の履行期
- 債権者代位権:履行期が到来していること。(保存行為を除く)
- 詐害行為取消権:履行期が到来している必要はない。
- 将来の債権のための保証をすることができる。
(主たる債務と保証債務は同時に成立する必要はない) - 連帯債務と連帯保証の求償権
- 連帯債務:一部返済をした場合、負担割合に応じて他の人に求償できる。
例:AとBが100万円の連帯債務(負担割合1:1)。Aが60万円を返済したら、AはBへ30万円を求償することができる。 - 連帯保証:分別の利益がない。→返済について、負担部分を超えないと他の人に求償できない。
例:AとBが100万円の連帯保証(負担割合1:1)。Aが60万円を返済したら、AはBへ10万円を求償することができる。(Aの自己の負担分50万円を超える10万円のみ求償可)
- 連帯債務:一部返済をした場合、負担割合に応じて他の人に求償できる。
- 委任と事務管理
- 費用の前払い
- 委任:できる
- 事務管理:できない。
- 費用の償還請求
- 委任:(善管注意義務を負い)事務を処理するのに必要と認められる費用の償還請求をすることができる。
- 事務管理:本人のために有益な費用についてのみ償還請求ができる。
- 共通
- 当然には代理権は認められない。
- 受け取多金銭その他のものを委任者・本人に引き渡さなければならない。
- 委任・事務処理の終了後、遅滞なく経過と結果を報告しなければならない。
- 費用の前払い